電気料金の高騰が大きな負担になりつつある現在、新電力の選択は有効な電気代節減対策のひとつになってきています。しかし、一方で新電力に対する不安を持たれている企業が多いのも事実です。今回は、おさらいの意味も含めて新電力の基本的な知識、今後の電力市場の動向を踏まえた新電力の選び方をわかりやすく解説します。
目次
新電力に関する基本知識
かつては電気の小売は各地の大手電力会社10社が独占していましたが、2016年の完全自由化で民間企業が新規参入できるようになりました。
「新電力」とは、この新規参入の小売電気事業者を指す言葉です。企業や家庭は大手電力会社だけでなく、新電力と契約を結び、電気を受け取ることができるようになりました。
新電力はほとんどの場合、自前の発電設備を持っていません。発電事業者やJEPX(日本卸電力取引所)から電気を仕入れ、それを契約企業・家庭に供給しています。
小売部門の電力自由化は2000年に特別高圧(契約電力が2000kW以上)、2004年に高圧大口(契約電力が500kW~2000kW)、2005年に高圧小口(契約電力が50kW~500kW)、2016年に低圧(契約電力が50kW以下)と段階をおって実施され、2022年時点で全体の供給量の20%強を新電力が占めているといわれています。
電力市場の最近の動向と今後
燃料価格は、気候変動による需給バランス、為替、地政学的リスクなど、さまざまな要因で変動します。
化石燃料のほとんどを輸入に頼っている日本では、世界情勢の変化が電力市場の動向により大きく影響します。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻では、これに伴う欧州エネルギー危機の影響で燃料価格が高騰しました。
2023年以降は少し落ち着きを取り戻しつつあるものの、以前の水準ほどには戻っていません。
また、昨今の国際情勢の不安定さもあり、今後の展望も不透明な状況です。
ウクライナ危機による燃料価格の高騰は、日本の新電力に大きな打撃をあたえました。
経営難による大幅な電気料金の値上げ、事業からの撤退、最悪のケースとして倒産などに追い込まれた企業も少なくありません。
あるデータによると2023年の3月時点で30%弱に及ぶ新電力が事業撤退・倒産したとされています。
割高なメニューへの移行や最終保証供給(*)などを余儀なくされた需要家企業が多くありました。
*契約している新電力が撤退・倒産し、他の新電力との電気の供給にかかる契約交渉が成立しなかった場合に、一般送配電事業者(東京電力など旧一般電気事業者の送配電部門)が供給するサービス。
安心の新電力選びで電気代を削減
新電力の多くは、コストのかかる発電ではなく電気を仕入れることや経費を削減するなどの努力により、低価格での電気料金を実現しています。
新電力選びでは、先述のような燃料価格の高騰による混乱を避けるためにも、安定的で持続的な経営が可能な新電力企業を選ぶことが必須条件となってきます。
規模や事業母体など会社の信頼性が重要なポイントになります。
また、料金メニューにおいても、自社の経営にマッチした選択が必要になってきます。
新電力の代表的な料金メニューとしては、以下のようなものが挙げられます。
固定メニュー<変動要素:ナシ>
燃料の市場価格と連動せず一定のため、電気料金が予見でき、予算管理がしやすい。
市場連動メニュー<変動要素:アリ>
従量料金に市場価格が反映され、メリット・デメリット双方の可能性がある。
旧一般電気事業者追随メニュー<変動要素:アリ>
燃料費等調整額を適用するため、見込みのズレが発生する可能性が大きい。
4. まとめ
今回のコラムでは、新電力の成り立ちや経緯、そして、近年の燃料高騰が新電力に与えた影響などを見てきました。
新電力は基本的に電気を低価格な料金で提供することを目的としており、企業の電気代の節減に直結する有効な選択肢のひとつです。
株式会社新出光では、上記でも挙げた、お客様のニーズにあわせてお選びいただける料金メニューを含むサービスをご提供しております。
とりわけ、昨年からの新メニューである「固定メニュー」は、電源開発(J-POWER)様との提携による安定した電気の供給体制、1年間値上げの心配がない契約内容など、より多くのお客様のニーズにお応えできるものと自負しております。
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