FCVってどんなクルマ?~後編~

前回は「FCV」に関して前編ということでFCVの特徴やメリットについてお話ししました。今回後編では、FCVの課題や課題解決に向けた動向をお伝えしていきます。

■FCVの課題はどんなものがある?

① FCVとHV自動車の価格差
プリウスを代表とするHV(ハイブリッド自動車)とFCVには、現在300万円ほどの価格差があるとされています。SDGsやカーボンニュートラルなどの言葉が飛び交うような環境への意識が強くなってきた昨今ですが、まだまだこの価格では手が届きづらいのが現状です。

② 水素ステーションの整備
FCVの普及のためには水素ステーションというインフラ整備が欠かせません。2021年8月時点で水素ステーションは国内166箇所(整備、計画中含む)あります。トヨタ自動車の「MIRAI」に乗られている方にお話を聞いたところ、水素ステーションに対する不安が最も大きいということでした。日頃から、残燃料と水素ステーションの場所のことを考えながら運転しなければならない、こういった現状を解決していく必要があります。

③ 産業用や業務用車両への対応
FCVは「MIRAI」のような乗用車だけでなく、バスやトラックなどの産業用、業務用車両の分野でも期待されています。乗用車よりも走行距離が長いため、その分の燃料電池の寿命が求められます。また水素の扱いは難しく、燃料補給の際に現状の軽油と水素で充填スピードに大きな差が出るとされています。



■FCVの課題解決に向けて

FCVの普及を阻む課題は分かりましたが、その課題解決に向けてどういった動きがあるのでしょうか。
政府の動向としては、本コラム「水素について0からお話しします!~後編~」の中でも触れた「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を経済産業省が策定しています。
ロードマップ内のポイントは「徹底的な技術開発」と「規制改革」、そして「インフラの整備」の3つです。このポイントを達成するためには、官民、民間企業同士など、単独企業でなく、複数企業で連携しながら取り組んでいくことが必要だと考えます。今まで以上に、自動車メーカーも戦略的提携などアライアンスを組んで動いていくでしょう。

FCVに限らず、EV(電気自動車)など自動車分野は、この先かなりのスピードで変化していくことが予想されます。その動向について常にウォッチしていくことが重要です。こちらのコラムでもできる限りタイムリーな情報をお届けしていきます!

今回のコラムに関してのご意見や掲載してほしい話題などございましたら、お問い合わせフォームよりお知らせください。 お待ちしております!

参考:
経済産業省「水素・燃料電池戦略ロードマップ」

文:エネルギー事業部営業戦略課 髙野龍太郎