化石燃料の代替エネルギーとして期待される「バイオ燃料」とは?メリットや課題について解説

低炭素・脱炭素に向けて、期待されている次世代のエネルギーには水素などが挙げられますが、課題も多く、実用化されるのにはまだ時間がかかりそうです。そんな中、化石燃料の代替エネルギー、低炭素の手段として「バイオ燃料」が注目されています。今回は、バイオ燃料の種類や、メリット、普及に向けた課題についてご紹介します。

バイオディーゼル燃料とは?

バイオ燃料とは、バイオマス(植物や動物などの生物資源)を原料としてつくる燃料のことです。

バイオ燃料を使用(燃焼)した際にも化石燃料と同じくCO2が発生しますが、植物由来のバイオ燃料の場合、植物が成長過程で光合成によりCO2を吸収しているため、使用時に発生するCO2は相殺されるとされています。

バイオ燃料の種類

バイオ燃料には様々な種類があります。今回は主なバイオ燃料5種類の使用用途と製造方法についてまとめています。



バイオ燃料のメリット

バイオ燃料のメリットとしては、以下が挙げられます。

・カーボンニュートラルを実現する燃料である

・太陽光や風力等の再生可能エネルギーと比較して、安定した製造が見込める

・地域の未利用資源が活用でき、廃棄物削減や市民サービスにつながる

・既存の設備(ボイラー・エンジン等)のまま活用できる場合がある

バイオ燃料の課題と今後の展望

化石燃料の代替エネルギーとして期待されているバイオ燃料ですが、普及までには課題も多くあります。

・コストが高い

普及のハードルとして最も大きいのがやはりコストの問題です。例えばバイオディーゼルの原料となる廃食用油は、飲食店やコンビニエンスストアなどから回収されますが、それぞれの店舗まで、回収が必要なため、その分の収集・運搬コストがかかってきます。その他のバイオ燃料も、原料が各地に点在していることが多く、コスト増の要因となっています。そのためコスト低減に向けて効率的な収集運搬や地域活用システムの構築が必要です。 

・食糧生産に対する影響

バイオ燃料の原料となるバイオマスには、燃料だけでなく食糧の資源としても利用されています。例えばバイオディーゼルの原料となる廃食用油は、回収された大部分が飼料用(鶏や豚など)のエサに使用されています。また、食用の穀物を生産していた土地をより収益率の高いバイオ燃料用へ転換されるなど、食糧生産への影響が問題視されています。

・ライフサイクルでのCO2排出

上述した通り、バイオ燃料は原料の成長過程でCO2を吸収するため、使用(燃焼)時のCO2は相殺され、カーボンニュートラルな燃料とされています。しかし、輸送や加工時に排出されるCO2も総合的に見て、CO2低減を目指さないといけない点も覚えておきたいポイントです。


まとめ

バイオ燃料は課題も多くありますが、水素などの次世代エネルギーのつなぎ役として大きな役割を担うのではないかと感じています。今後、実際にバイオ燃料はどういった用途で使用されているか、事例を交えながらご紹介していこうと思います。

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文:エネルギー事業部 営業戦略課 髙野 龍太郎