各メーカーのEVトラックをご紹介!
前後編に分けて取り上げている「EVトラック」についてですが、前編ではEVトラックの必要性や、政府目標、それに対しての現状や課題について解説しました。後編では、実際に具体的なEVトラックの車種や導入事例についてお話ししていきます。
それでは早速、現在販売されている、もしくは今後販売が予定されているEVトラックを導入事例も交えながら一部ご紹介します!
三菱ふそうトラック・バス株式会社「eCanter」
EVトラックと言えば、「eCanter」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。2017年に国内では初めての量産型EVトラックとして発売されましたが、今年9月にフルモデルチェンジした次世代モデルを発表しました。発売は2023年春を予定しています。
今回発表された次世代モデルと現行モデルとの大きな違いは、車両総重量のバリエーションが複数展開される点でしょう。現行モデルは総重量7.5t、積載量3tでしたが、次世代モデルは総重量5t~8tクラスまでラインナップされています。
また、それによってホイールベースに合わせた3タイプのバッテリーが設定され、41kWhのバッテリーが1~3個と搭載の幅が広がり、航続距離がバッテリー1個では約80km、2個では約140km、3個では約200㎞と現行の約100㎞の航続距離から延ばすことを実現しました。
日野自動車「日野デュトロ Z EV」
国内トラックメーカーは、4大メーカーと言われますがEVトラックの領域においてもメーカーそれぞれ動きが活発化しています。これまで上述の三菱ふそうがリードしていましただが、日野自動車も今年6月より発売を開始しています。
最大積載量は1tで、一度の充電で航続距離は約150㎞となっています。特徴は、新開発のシャーシによる超低床構造(約40㎝)と運転席と荷物室が車内でつながるウォークスルー構造で、荷役作業性や乗降性に優れており、ドライバーの負担が軽減できます。また、普通運転免許で運転できることから、ドライバー不足に対する解決にもなりそうです。
また、今年8月よりヤマト運輸が「日野デュトロ Z EV」を500台導入すると発表しました。現在ヤマト運輸のCMでもこちらのEVトラックが放映されています。航続距離に合わせてラストワンマイル向けの配送に利用される予定です。
いすゞ自動車「エルフEV」
2019年~2022年の約3年間、航続距離100㎞のエルフEVを使って実証を続けてきたいすゞ自動車も、いよいよ2023年3月を目途にEVトラックを市場投入する予定です。
EVの課題であるコストを下げるための方策として、既存のディーゼルエンジン車と同じラインで混流生産するそうです。部品や車体設計の共通化、架装もディーゼル車と同じ方法で施せるといったように、生産設備への投資を抑えています。現時点では航続距離150㎞を想定しています。
フォロフライ株式会社「EV F1 VAN」
上記3台は国内大手トラックメーカーのEVトラックをご紹介しましたが、以下2台はEVベンチャーのトラックになります。
フォロフライ株式会社は、2021年8月に設立され、EVの開発と販売を自社で手掛け、生産工場は持たない「ファブレスメーカー」です。
積載量1tクラスのバンタイプで、航続距離は約300㎞、そしてEVトラックの課題であるコスト面はガソリン車と同等の約400万円まで抑えられています。
先日、新出光の本社にて試乗会を開催いただき、私も実際に運転しましたが、コンパクトでありながら加速性にも優れており、ラストマイルには非常に適しているのではないかと感じました。
2022年10月より本格的に販売予定となっております。
また、昨年の10月に物流会社のSBSホールディングスがラストワンマイル向けに全面的な導入をしたことで話題になりました。SBSグループは、CO2排出量削減のため、約2,000台の保有車両を今後5年間でEVへ変えていくことを構想しています。
株式会社EVモーターズ・ジャパン「e物流車」
最後にご紹介するのはEVモーターズ・ジャパンのEVトラックです。福岡県北九州市のEVベンチャーで、フォロフライと同じく開発と販売を手掛けます。
トラックより先にコミュニティバスや路線バスがラインナップとしてあり、若松の会社にはEVバスが展示されています。
EVトラックに関しては、総重量3.5tといった小型からラインナップを準備し、今後中型、大型にも展開していく予定です。また、EVモーターズ・ジャパンはトラックだけでなく、天井、壁面にも設置できるフレキシブルソーラーパネルや、リユースバッテリーなど幅広く開発を行っています。今年5月の横浜で開催されたジャパントラックショーにて、佐藤社長のセミナーに参加しましたが、EVモーターズ・ジャパンは、トラックメーカーというよりも、エネルギーマネジメントまで手掛ける会社であるという印象を受けました。
後編では、各メーカーから発表されているEVトラックの車種や導入事例についてお話ししました。私も各EVトラックメーカーの方とお話しする度に、加速度的に進化をしていることを感じます。今後、大手物流会社から中心にさらにトラックのEV化は進んでいくことが予想されます。
我が社もエネルギー会社として、前編でも触れた充電インフラ等の課題面含め、導入のハードルを下げていくこと、また問題なく運用するためには、どのような解決策が考えられるか検討を重ねております。これからも定期的にトラックの動向について取り上げていこうと思います!
今回のコラムに関してのご意見や掲載してほしい話題などございましたら、お問い合わせフォームよりお知らせください。 お待ちしております!
文:エネルギー事業部営業戦略課 髙野龍太郎